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化粧品を企画してから市場に投入するまでの期間は、既存処方を使うか新規処方を開発するかによって大きく変わります。
スピード重視で短期間の立ち上げを目指すブランドもあれば、独自性を追求して長期的な開発を選ぶ企業もあり、最適な進め方は目的や体制によって異なります。企画立案から処方設計、容器選定、試験、量産と進む一連のプロセスには、それぞれ特有のリードタイムと注意点があり、どこで時間がかかるのかを把握しておくことがスケジュール管理の大きな鍵になります。
本記事では、化粧品開発の一般的な期間相場と各工程のポイントをわかりやすく整理し、プロジェクトを遅延させないための実践的な視点をまとめています。開発の全体像を理解することで、OEM先とのやり取りや社内調整をよりスムーズに進められるようになります。
Contents
化粧品開発に必要とされる期間は、採用する処方の種類や企画内容によって大きく異なります。既存処方をベースにするか、新規処方を一から設計するかによって、プロジェクトの難易度や工程数が変わり、そのままスケジュールに影響します。
既存処方を活用するケースでは、全体の開発期間はおよそ五〜七か月が目安とされています。既に安定性や使用感が確認されたベースを活用するため、試作回数が少なく、相性確認や機能評価の工程を短縮できるからです。この進め方は、スピード感を重視するブランドや、早期の市場投入を求めるプロジェクトに向いています。
一方で、新規処方を開発する場合は、十〜十二か月以上かかることが一般的です。使用感、テクスチャー、香り、配合成分をゼロから検討し、安定性試験や安全性評価も時間をかけて進める必要があるためです。さらに、新しい原料を採用する際には調達リードタイムが延びる場合があり、途中で仕様変更が発生するとスケジュール全体に影響が出やすくなります。
こうした事情を踏まえると、企画段階で方向性や仕様を丁寧に固めておくことが、結果的に開発の手戻りを減らし、プロジェクト全体の進行を安定させる重要なポイントになります。開発の初期段階でどれだけ詳細に要件を共有できるかが、納期の確度を高める鍵につながります。
化粧品開発は、複数の工程が連動しながら進む長期プロジェクトです。どのフェーズも独立しているように見えますが、実際には互いに影響し合いながら全体のスケジュールを形づくります。
まずは最初の企画づくりから始まり、段階を経て具体的な製品へと姿を変えていきます。その最初の入口となるのが、企画やコンセプトを固める工程です。
化粧品づくりは、最初の企画とコンセプト設計から本格的に動き始めます。この段階で決める方向性が、その後の処方検討や資材選定に直結するため、全体工程の中でも特に慎重な判断が求められます。
企画立案に充てる期間は数週間から一か月程度とされ、この間にターゲット層や製品テーマを丁寧に固めていきます。使用感や香り、ブランドとして描きたい世界観も共有しておくと、開発に関わる全員が同じゴールを見据えながら作業を進めやすくなります。
市場調査では、生活者が求める価値を把握し、競合商品の特徴や価格帯を分析します。調査によって得た情報をもとに、自社の製品がどのような立ち位置で消費者に選ばれるのかを見極めることが大切です。
この分析が曖昧なままプロジェクトを進めると、試作段階での方向性のブレが生じやすく、仕様の修正によって開発期間が大幅に延びるおそれがあります。初期コンセプトが明確であれば、OEMメーカーや社内関係者との調整もスムーズに進み、後工程のスピードと精度が安定します。
処方検討の段階では、既存処方を活用するか、新規処方を組み立てるかによってスケジュールが大きく変わります。
既存処方をもとにする場合は、香りや色の調整といった軽微なカスタマイズが中心となるため、試作が短期間でまとまりやすくなります。一方、新規処方を開発するケースでは、原料選定や配合の微調整、安定性の確認を複数回繰り返す必要があり、試作回数が増えるほど時間もかかります。
初期仕様が曖昧なまま進めると修正が増え、全体スケジュールに影響しやすいため、企画段階での方針共有が重要になります。
また、処方が確定しないと容器との相性試験を進めにくくなるため、処方設計と容器検討を並行して進めることが理想です。両方の工程が密接に連動するため、進行管理には慎重な判断が求められます。
容器やパッケージ資材の検討では、デザイン性と実用性の両方を判断しながら選定を進めていきます。
容器のリードタイムは一般的に3〜4か月程度とされ、特殊形状やオリジナル金型を使う場合はさらに期間が伸びる傾向があります。資材への印刷や加飾が入ると、デザインの変更がスケジュールに影響することもあり、パッケージ確定の遅れは全体工程のズレにつながりやすくなります。
そのため、スピードを重視する場合は既製容器や在庫容器を活用すると調達期間を短縮しやすくなります。
容器が決まらないと内容物の容量や粘度の確認が進まないため、容器選定は処方と同じくらい重要な位置づけとなります。容器と中身の両方が揃うことで、次の安定性試験や検査の精度が高まり、製品としての完成度が一歩ずつ上がっていきます。
安定性試験は、通常3か月以上の期間をかけて行われ、成分が長期間にわたり問題なく維持されるかを検証します。
あわせて菌検査や容器との相性確認も実施され、実使用に耐えうる品質であるかを確認します。とくに医薬部外品を扱う場合は、承認申請の工程が追加され、8か月から1年ほどの期間を要することもあります。薬機法に基づくラベル表記の整合性や広告表現のチェックも必要となるため、慎重に進める必要があります。
試験工程は短縮しにくいため、資材調達やデザイン確定と並行して進めることで全体スケジュールの最適化が図れます。こうした品質の確認が終わることで、量産に向けた準備が整っていきます。
量産段階では、バルク製造、充填、包装、検査、出荷までが一連の流れとして進行します。
これらの工程には1〜2か月程度を想定するのが一般的で、資材の入荷遅延や物流の混雑が発生するとスケジュールが影響を受ける可能性があります。発売日が決まっている案件では、余裕を持った進行が求められます。完成した製品は物流倉庫へ入庫され、その後の納品や店舗への配送調整を経て、ようやく消費者の手元に届きます。
開発期間をできるだけ短くしたい場合は、既存処方や既製容器を積極的に活用することが最も効果的です。これらを選択することで、処方検討や容器調達にかかる時間が大幅に圧縮され、全体の工程を安定させやすくなります。
試作回数を減らすためには、初期段階で使用感や香りのイメージを具体的に共有し、意思決定を迷わず進めることが欠かせません。
社内での決裁ルートを事前に整理しておくことも、タイムロスを避けるうえで大きな助けになります。
さらに、開発チームやデザイナー、OEM先が同じスケジュールを参照しながら進行すると、認識のずれが減り、修正による時間的なロスを最小限に抑えられます。
このように、関係者が共通のゴールを共有し、スピーディーなコミュニケーションを意識することで、開発全体の流れがよりスムーズになります。
OEMに委託する場合は、メーカーが持つ既存の設備や技術をそのまま活用できるため、商品化までの期間を比較的短くできます。
試作から量産までの導線が整っており、実績に基づいたノウハウも蓄積されているため、スケジュールが安定しやすい点も特徴です。
一方で、自社内で処方開発から製造までを完結させる場合は、設備の適性確認やリソースの確保が必要となり、OEMと比べると開発期間が長くなります。
どちらを選ぶかは、ブランドの体制や商品ラインアップ、開発の年間頻度によって変わります。スピードを重視するのであればOEMが優位だといえます。
化粧品の種類によって、開発に必要な期間は大きく変わります。
比較的シンプルな処方設計で済む化粧品であれば、試験項目も限定的なため、開発期間を短縮しやすい傾向があります。
一方、機能性成分を訴求するような化粧品では、色調や質感の再現性、機能評価などの確認が増えるため、試作や試験にかかる時間が長くなる場合があります。
さらに、海外から原料や容器を調達する場合は、輸送や通関、到着後の品質確認といった国内調達にはない工程が追加されます。
これらのプロセスには不確実性が伴い、国際物流の状況によっては納期が変動しやすいため、通常のスケジュールより多くの余裕を持って計画を立てることが求められます。
とくに海外容器や特殊原料を使用する場合は、サンプル調整や再手配が発生しやすく、納期全体に影響が出やすくなる点にも注意が必要です。
化粧品開発は、企画立案から処方設計、容器選定、試験、量産に至るまで、多くの工程が連動しながら進む複雑なプロセスです。
それぞれのフェーズが互いに影響し合うため、初期段階でのコンセプト共有や決裁フローの整理が、開発期間を安定させるうえで重要になります。既存処方や既製容器を活用することで期間を短縮でき、関係者間の情報共有が円滑であれば手戻りも最小限に抑えられます。
また、製品種類や海外調達の有無によって期間が変動することも想定し、余裕を持ったスケジュール設計を行うことが求められます。全体の流れを理解したうえで適切に対策を講じることで、スムーズかつ確実な商品化につながります。
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