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ハラル化粧品市場は、イスラム教徒人口の増加やクリーンビューティー志向の高まりを背景に、世界中で注目を集めています。特にハラル化粧品OEMは、自社で製造設備を持たずとも、ハラル認証に対応した製品を短期間で市場に投入できる手法として、多くのブランドから支持を得ています。ハラル認証を取得することで、イスラム圏をはじめとした海外市場への参入がスムーズになるだけでなく、成分の安全性や倫理的製造を重視する消費者からも信頼を得やすくなります。
この記事では、ハラル化粧品OEMの仕組みや特徴、メリット、製品カテゴリ、認証取得の流れ、そしてOEMメーカー選びのポイントまでを詳しく解説します。
Contents
ハラル化粧品OEMとは、自社で製造設備を持たず、外部のOEMメーカーに委託してハラル対応の化粧品を製造する仕組みのことです。OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略で、ブランドオーナーが製品の仕様やデザインを決め、工場がその指示に沿って製造を行います。一方、ODM(Original Design Manufacturer)は、OEMと異なり製品の企画や処方開発の段階からメーカーが主体となって行う方式です。ブランド側は販売やマーケティングに集中できるため、新しい市場への参入時に活用されるケースが多い傾向にあります。
ハラル化粧品OEMの大きな特徴は、イスラム教の戒律に基づいた製品づくりが求められる点です。動物由来成分の制限やアルコール使用の禁止、製造ラインの交差汚染防止など、通常の化粧品製造とは異なる管理が必要になります。これらの条件を満たしていることを第三者認証機関が証明するのが「ハラル認証」です。ブランドがハラル認証を取得することで、イスラム圏をはじめとした世界中の消費者に安心して使用してもらえる製品を提供できるようになります。
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ハラル化粧品の最大の特徴は、成分や製造方法がイスラム教の戒律に沿っている点にあります。具体的には、豚由来成分や一部の動物性油脂、アルコールを含まない処方であることが求められます。また、製造過程においても非ハラル製品と同じラインで製造されることがないよう、製造設備の分離や徹底した洗浄管理が必要です。さらに、パッケージや表示方法においても文化的配慮が求められる場合があり、対象地域の消費者に不快感を与えないデザインや表現が重視されます。
ハラル化粧品は、イスラム教徒だけでなく、ナチュラル・オーガニック志向の高まりとともに世界的に需要が広がっています。成分の安全性や倫理的な製造背景が支持され、「クリーンビューティー」トレンドとの親和性が高いことも注目される理由です。
ハラル化粧品が世界的に注目を集める背景には、複数の要因があります。まず挙げられるのが、イスラム教徒人口の増加です。**Pew Research Centerの調査(2019年)によると、世界のイスラム教徒人口は約19億人を超え、2050年までに全人口の約30%に達すると予測されています※1。**この膨大な人口を背景に、ハラル認証を取得した製品の需要は年々高まっています。
次に、ハラル化粧品は宗教的な戒律を重視するイスラム圏の消費者だけでなく、クリーンビューティーやエシカル消費の流れに乗って、非イスラム圏の消費者からも注目されています。成分の安全性や動物実験を行わない製造ポリシー、透明性の高いサプライチェーンは、倫理的消費を志向するユーザーに強く支持されています。
さらに、中東・ASEAN地域での購買力向上と市場拡大も大きな理由です。特にマレーシアやインドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)などは、ハラル認証を取得していない製品が販売できない、あるいは流通に制限がかかるケースも多く、現地展開には認証取得が必須といえます。このような国々では、ハラル化粧品は市場参入の前提条件としても重要な位置付けを持っています。
ハラル化粧品市場は、世界的に高い成長率を維持しています。**Global Market Insightsのレポート(2024年)では、ハラル化粧品市場は2030年までに約900億ドル規模に達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は10%を超える見込みです※2。**特に東南アジア、中東、南アジアの成長が顕著で、購買層の若年化とオンライン購買の浸透が市場拡大を後押ししています。
日本企業にとっても、ハラル化粧品市場は新たな成長機会となり得ます。認証取得によって輸出規制のある地域への販売が可能になるだけでなく、「安全・高品質な日本製」という付加価値を活かしやすいためです。今後は、OEMを活用したスピーディーな商品開発と海外市場参入が鍵になるといえるでしょう。
※1 参考:Pew Research Center, “The Future of World Religions: Population Growth Projections, 2019”
※2 参考:Global Market Insights, “Halal Cosmetics Market Report, 2024”
ハラル化粧品OEMには、自社ブランドの成長や海外市場への進出を後押しするさまざまなメリットがあります。ここでは代表的な3つのメリットを紹介します。
ハラル認証は、イスラム教の戒律に基づいた厳格な基準をクリアした製品であることを証明します。認証マークのある製品は消費者に安心感を与え、ブランドの信頼性を高めやすいのが特徴です。
また、ハラル化粧品は動物由来原料やアルコールを使用しないケースが多く、クリーンビューティーやエシカル志向の消費者にも支持されやすい傾向にあります。イスラム圏に限らず幅広い市場で選ばれるブランドになることが期待できます。
自社でハラル対応の製造ラインを整備するには多額の設備投資が必要ですが、既にハラル認証を持つOEMメーカーに委託すればコストや時間を大きく削減できます。
OEMメーカーは原料調達から交差汚染防止、書類の準備までハラル認証に必要な知識と経験を持っているため、認証取得を見据えた製品開発もスムーズです。これにより、短期間で商品化を実現しやすくなります。
マレーシアやインドネシア、UAEなど一部の国では、ハラル認証がない製品は流通や販売に制限がかかる場合があります。OEMを通じてハラル認証を取得することで、輸出規制のある市場にも参入しやすくなる点は大きなメリットです。
また、ハラル認証は小売店やオンラインモールとの取引を有利に進めるための強力なアピールポイントになります。東南アジアや中東市場では、認証が製品選定の重要基準となるため、OEMを活用した戦略は海外展開の加速につながります。
ハラル化粧品OEMは、幅広い製品カテゴリに対応できます。スキンケア、メイクアップ、ヘアケア・パーソナルケアなど、ブランドのニーズに合わせた多彩なアイテムを製造できるのが特徴です。ここでは代表的な3つのカテゴリを紹介します。
化粧水や乳液、クリーム、美容液など、スキンケア製品はハラル化粧品OEMで最も多く製造されているカテゴリの一つです。動物由来成分やアルコールを避けつつ、植物由来エキスやミネラル成分を活用した処方が主流となっています。
OEMメーカーによっては、オーガニック認証とのダブル取得が可能なケースもあり、クリーンビューティー志向の高い消費者にもアピールできるラインナップを構築できます。
リップ、アイシャドウ、ファンデーション、チークなどのメイクアップ製品もハラル対応が可能です。ポイントとなるのは、色材や油脂成分の原料選定です。特に動物由来成分やアルコールを含まない原料の確保は難易度が高いため、経験豊富なOEMメーカーのサポートが重要です。
また、パッケージやカラーバリエーションの文化的配慮も求められるため、イスラム圏の消費者の嗜好を理解した商品企画が成功の鍵となります。
シャンプーやコンディショナー、ボディソープ、ハンドクリーム、デオドラントといったパーソナルケア製品もOEMの代表的なカテゴリーです。天然由来の保湿成分や植物性オイルを活用した処方が多く、毎日使用するアイテムとして安全性や低刺激性が重視されます。
この分野では、イスラム圏の生活習慣や気候に合わせた使用感や香りの工夫も重要です。OEMメーカーによっては、現地消費者のインサイトを取り入れた製品提案が可能な場合もあります。
ハラル化粧品を製造・販売するには、イスラム教の戒律に基づいた基準を満たしていることを第三者が証明する「ハラル認証」の取得が必要です。ここでは、認証取得の一般的な流れと注意すべきポイントを解説します。
まずは、信頼できるハラル認証機関を選定します。認証機関には、マレーシアのJAKIMやインドネシアのMUIなど、国ごとに権威ある機関が存在します。輸出予定国で認められている認証機関を選ぶことが重要です。
選定後、申請書類の提出が必要になります。製品の処方や原料情報、製造工程、製造ラインの管理状況などを詳細に記載した資料を用意します。OEMメーカーに委託する場合は、メーカー側がこの申請プロセスをサポートしてくれるケースが多く、専門的な知識がなくてもスムーズに進めやすいのが特徴です。
認証を取得するには、動物由来原料やアルコールなどの使用禁止成分が含まれていないことを確認する必要があります。特に注意が必要なのは、原料の由来や精製過程に動物性成分が使われていないかどうかです。
また、製造ラインの管理も重要です。ハラル製品と非ハラル製品を同じ設備で製造している場合は、交差汚染を防ぐための徹底した洗浄・管理体制が求められます。OEMメーカーによっては、専用ラインを保有しているところもあり、認証取得の審査をクリアしやすい環境が整っているかどうかがポイントになります。
ハラル認証は国や地域によって認められる基準や認証機関が異なるため、輸出先国ごとの規制を把握することが非常に重要です。例えば、マレーシアではJAKIMの認証が、インドネシアではBPJPH(旧MUI)の認証が求められます。これらは相互に認め合っていないケースもあるため、対象国に合わせた認証を取得する必要があります。
さらに、輸出時には製品のラベル表示や包装にも規定がある場合があり、現地の文化や宗教的配慮を踏まえたデザイン設計が求められます。OEMメーカーが海外輸出サポートを提供している場合、こうした規制対応も一貫して任せられるため、トラブル防止につながります。
ハラル化粧品の製造をOEMメーカーに委託する際は、どのメーカーを選ぶかが成功の鍵となります。ここでは選定時に押さえておくべきポイントを整理します。
まずは、対象国で有効なハラル認証の取得実績があるかどうかを確認しましょう。OEMメーカーがすでに認証を持っているか、あるいは認証取得サポートができる体制を整えているかは重要な判断基準です。
また、過去にどのようなハラル化粧品を製造してきたか、製品カテゴリごとの開発・製造の経験が豊富かどうかもポイントです。特に輸出を見据える場合は、中東や東南アジア向け製品の実績があるメーカーを選ぶと安心です。
ハラル化粧品の展開では、輸出先国の規制対応や物流面のサポートが重要になります。OEMメーカーが輸出対応の知識や経験を持っているか、現地の規制に精通しているかをチェックしましょう。
例えば、輸出に必要な書類の整備やラベル表示のアドバイス、現地パートナー企業の紹介などを行ってくれるメーカーであれば、海外市場参入がスムーズになります。
OEMメーカーを選定する際は、費用構造やMOQ(最小ロット)、納期条件も必ず比較しましょう。
小ロット対応が可能かどうか
試作品の開発費や認証費用が明確に提示されているか
本生産の納期がブランドの販売計画に合っているか
これらの条件を複数社で比較することで、自社に合ったパートナーを見つけやすくなります。特に新規ブランド立ち上げやテストマーケティング段階では、柔軟に対応してくれるメーカーを選ぶことが成功のポイントです。
ハラル化粧品OEMは、イスラム圏をはじめとする海外市場への参入や、ブランドの信頼性向上に大きく貢献できる手法です。OEMメーカーを活用すれば、認証取得に必要な知識や設備投資を抑えつつ、多様な製品カテゴリの開発が可能になります。
また、ハラル認証は宗教的背景を持つ消費者層だけでなく、ナチュラル・クリーンビューティー志向の高まりを背景に世界中で注目されています。今後の化粧品市場で競争力を高めるためには、認証取得を視野に入れた製品戦略が不可欠といえるでしょう。
ハラル化粧品OEMを検討する際は、
認証実績や輸出サポートの有無
費用やMOQ、納期条件の適正さ
ターゲット市場に適した製品開発の経験
といったポイントを踏まえてパートナーを選定することが大切です。OEMメーカーと連携しながら、自社ブランドの成長と海外市場への展開を見据えた戦略を構築することが成功の鍵になります。
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