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OEM製品の製造元の表示義務はある?
化粧品や健康食品によって表示義務や表示内容は変わるの!?
製造元の表示について解説します。
Contents
OEMは、Original Equipment Manufacturerの略称で、製造業者や部品メーカーが自社製品の一部として他社の製品に使われる製品や部品を提供することを指します。
例えばスマートフォン製造において、自社製品の中で使われるカメラモジュールが別の会社から供給される場合、そのモジュールはOEM製品となります。また、自動車メーカーが自社ブランドで販売する車の一部に使われるエンジンやタイヤなども、部品メーカーからOEM供給された製品となります。
OEMは、自社製品の品質や信頼性を維持しながら、より効率的に製造することができるため、多くの業界で一般的なビジネスモデルとして採用されています。
家電から食品、化粧品にいたるまでOEM製品は多岐に渡り活用されているOEMですが、これらには製造元の表示義務はあるのでしょうか?
今回は化粧品・健康食品の表示について解説しますが、結論からお伝えすると製造元の表示義務はあります。まずは一般的な表示義務や製造物責任について見ていきましょう。
製造物責任(PL)法とは、製造物の欠陥が原因で損害が生じた場合の損害賠償について定めた法律で、製造物を「製造又は加工された動産」と定義しています(*1)。
原材料に手を加えて新たな物品を作りだしたり、加工をして新たな価値を加えた動産を対象としており、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは対象となりません(*1)。
製造物責任は製造物を製造、加工又は輸入した者としています(製造物責任法第2条第3項第1号)。自ら製造業者として製造物に氏名等の表示をした者又は製造物にその製造業者と誤認させるような表示をした者(本法第2条第3項第2号)や、その実質的な製造業者と認めることができる表示をした者(本法第2条第3項第3号)も対象としています(*1)。
つまり製造業者へ生産委託したOEM製品を販売し、いわゆる表示製造業者となる者もその責任を負います。設計を製造業者が行い、販売をブランド事業者が行っている場合で設計・仕様の変更をブランド事業者の了承が必要な場合は、販売を行う事業者も責任の対象となります(*2)。
また、部品はOEM委託先が製造をしてそれを組み立てて販売をしている場合には、部品製造業者だけでなく完成品の製造業者も製造物責任を負うこととなります。
化粧品をOEM製造する場合には、製造をする委託先情報を表示が必要となる「製造販売元」として表示し、ブランドを保持し販売を行う会社情報を「発売元」として表示します。
詳しくは後述する化粧品の表示義務、健康食品の表示義務の内容で説明します。
製造物責任保険は、商品の製造過程で起こった不具合や欠陥によって他者に損害を与えた場合に、製造業者が被る責任を保障する保険です。
製造業者が製造した商品が欠陥品であった場合、その商品を使用した消費者やその他の第三者に損害が発生する可能性があります。例えば、自動車メーカーが欠陥部品を使用した車を販売し、その部品によって事故が起こった場合、メーカーは事故被害者に対して損害賠償を求められる可能性があります。
製造物責任保険は、こうした商品の欠陥によって他者に与えた損害について、製造業者が負う損害賠償責任を補償する保険です。この保険によって、製造業者は自社製品によって発生する損害に備えることができます。
ただし、製造物責任保険は商品の欠陥が原因で起こった事故や損害に限定されるため、製造業者が被った損害や経費には適用されません。また、保険の適用範囲や補償額については、保険契約によって異なりますので契約内容をよく確認する必要があります。
化粧品の表示義務のなかに「製造販売業者の氏名又は名称及び住所」の情報があります(*4)。つまり製造元の表示義務があるということになります。この情報は「製造販売元」として表示し、もし製造元と販売する企業が異なる場合は販売する企業を「発売元」として表示します。
化粧品の表示義務とはどのようなものがあるのでしょうか?
化粧品公正取引協議会(「化粧品の表示に関する公正競争規約」を運用するための機関として、昭和47年2月に公正取引委員会の承認を受けて設置された任意団体)(*4)が定める「化粧品の表示に関する公正競争規約」では必要表示事項が以下の内容とされています。
化粧品における「製造販売元」とは化粧品の表示に関する公正競争規約で明示されている必要表示事項の「製造販売業者の氏名又は名称及び住所」となります。
自社で製造販売業許可を保有し販売届出を行う場合は自社の情報を記載します。もし自社で製造販売業許可を持っていない場合は製造を委託するOEM会社の情報を記載します。その際は「発売元」として自社の情報及び問い合わせを受けられる電話番号等も明記し、「製造販売元」として製造を委託するOEM会社の情報を記載します。
(記載例:OEM会社へ製造を委託する場合)
発売元:株式会社〇〇〇〇 △△県△△市◇◇◇×丁目×番地 TEL××-××××-××××
製造販売元:◆◆◆◆株式会社 ▲▲県▲▲市◆◆◆×丁目×番地
製造元以外の表示で必要となる記載内容についてご説明します。
・種類別名称
たとえば「美容液」や「シャンプー」といった製品を製造する際に、商品名や販売名からどのような商品かわからない場合は種類別名称を記載します。化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】(*5)に記載されている「種類別名称」および「代わるべき名称」のなかで記載を行います。
・販売名
製造販売業許可をもつ事業者が届け出を行います。販売名と愛称(商品名)を別にすることも可能です。その場合は、販売名を別途記載する必要があります。
・内容量/原産国名/使用期限
内容量は重量(g)または容量(mL)で表示します。製造国については「日本製」または「MADE IN JAPAN」の表記が一般的です。使用期限については、未開封で3年以上の品質を担保できるものは使用期限の表示義務がありません。
・成分/使用上・保管上の注意/問い合わせ先
これらの情報も使用者にわかりやすく記載する必要があります。成分表示について、化粧品では全成分の表示が義務付けられていますが、医薬部外品は薬機法においては全成分の表示は義務付けられてはいません。ただし、日本化粧品工業会の自主基準において、医薬部外品でも全成分表示を実施しています。
最後に、健康食品における製造元の表示義務について解説します。
食品を販売する際に、その商品の品質や安全性に関する情報を消費者にわかりやすく伝えることを義務付ける法律です。日本では、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、健康増進法などに基づいて、食品の表示が義務付けられています。(*6)
具体的には、食品の名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者名、製造所所在地、輸入者名、原産国名などを表示する必要があります。また、特定の栄養成分を多く含む食品や、特定の機能性を持つ食品については、その旨を表示する必要があります。(*7)(*8)
食品の製造所固有記号とは、食品衛生法に基づいて厚生労働大臣に届け出た記号で、同一製品を2か所以上の工場で製造する場合、製造所所在地及び製造者の氏名の表示に代えて使用することができるものです。記号は、アルファベット1文字と数字2桁で構成されています。
製造所固有記号は、2016年4月に新制度となり、2020年4月製造分より完全義務化されました。新制度では、従来の記号に加えて、製造所の所在地、製造者の氏名、製造所固有記号の問い合わせ先を表示することが義務付けられています。(*9)
主に化粧品と健康食品の製造元の表示について解説しました。化粧品や健康食品の製造をご検討の皆さまのお役に立てれば嬉しい限りです。
なお当社(株式会社OEM)は化粧品・健康食品の製造受託専門企業として数々の製品を提供してきました。また、ブランドコンセプトや商品企画のコンサルティング業務のご相談もお受けしております。
「化粧品の企画も相談したい」、「化粧品をリニューアルしたい」、「新たに化粧品をつくりたい」とご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。
*2 経済産業省 消費生活用製品安全法におけるOEM生産品・PB品の取扱いに関するガイドライン
*5 化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】
*7 食品衛生法における表示について(東京都福祉保健局) 公益社団法人日本フードスペシャリスト協会
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