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今さら聞けない!?SDGsのこと。
化粧品業界のSDGsの取組みは!?
SDGsの目標達成にはどのように取り組むべき!?各社の対応は?
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を目にする機会が多くなっているのではないでしょうか。既に取り組みを行っている企業も多数ありますが、自社で今後取り組むべき目標を設定したり再定義されるかたもいることと思います。
この記事では化粧品業界と関わりがあるSDGsのゴールについて詳しく解説するとともに、各社の取り組みをご紹介したいと思います。
化粧品業界と関連性の高いSDGsのゴールを把握することが、あなたの会社がどんなことに取り組むことができるかを考えるきっかけになることでしょう。
化粧品業界との関連性が高いSDGs目標を考えるためにも、まずSDGsとはどのようなものなのかを確認していきましょう。
ではまずSDGsとはどのようなものかあらためて確認していきましょう。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。(*1)
MDGsでは8ゴール21ターゲットの開発途上国の目標として国連専門家が主導で取り組むものでしたが、SDGsでは先進国を含む全ての国の目標となりました。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。(*1)
ではどのようなゴールがあるかを見ていきましょう。
SDGs17のゴールは、大きく3つの世界が直面する課題を網羅的に示しています。
①貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ
②エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消などすべての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ
③地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダ
SDGsは、これら社会、経済、環境の3側面から捉えることのできる17のゴールを、統合的に解決しながら持続可能なよりよい未来を築くことを目標としています。(*2)
それでは、SDGsの詳細についてどのようなものがあるのか見てみましょう。それぞれのゴールについて現状課題の一部を抜粋しました。詳細の数値指標は国連のレポート(*3)や各ゴールの詳細に掲載されていますのでご参考ください。
極度の貧困の中で生活する世界人口の割合は、COVID-19パンデミックによって2020年には増加しています。
2020年に世界では7億2000万~8億1100万人が飢餓に直面しました。この実態を把握できている人たちがどれほどいることでしょうか。
2021年6月17日の時点で、世界中で24億回近くのCOVID-19ワクチンが接種されました。しかし、分布には大きな不平等が存在します。ヨーロッパと北アメリカでは、100人あたり約68のワクチンが投与されましたが、サハラ以南のアフリカでは2未満でした。
COVID-19のパンデミックにより読解力がない子どもが以前よりも1億人増えています。
女性は2019年に世界の労働力の39%近くを占めていましたが、管理職に占める女性の割合は28.2%にすぎません。
2020年には、20億人が安全に管理された飲料水を利用できておらず、その中の7億7,100万人は飲料水さえないのです。
世界の電力利用率は2010年の83%から2019年には90%に改善し、11億人が初めて電力を利用できるようになりました。しかし、2019年時点で7億5,900万人が電力をまだ利用できていません。
多くの国では、2022年または2023年までに経済成長がパンデミック前のレベルに戻るとは予想されていません。
工業化、インフラの改善、および研究開発への投資を増やすことによる技術革新の促進が重要です。研究開発への世界の投資は、2010年の1.4兆ドルから2018年には2.2兆ドルに達しました。その結果、研究開発に投資された世界のGDPの割合は2010年の1.61%から2018年の1.73%に増加しました。
2020年半ば、戦争、紛争、迫害、人権侵害などのために国を離れて難民になった人の数は、過去最高の2,400万人に達しました。
多くの国の都市はCOVID-19が流行し、手頃な価格の住宅や公衆衛生システム、水、廃棄物サービス、公共交通機関、公共スペースなどの都市インフラが不足しています。
世界中で毎分100万本のペットボトルが購入され、毎年5兆個の使い捨てビニール袋が捨てられています。
温室効果ガスの濃度は 2020 年も増加し続け、過去最高を記録。2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロ)には程遠い状態です。
世界中のデッドゾーン(海洋生物にとって十分な酸素が不足している水域)が、2008年の約400から2019年には約700に増加。世界人口の約40%が住む沿岸地域では、肥料流出・家畜の廃棄物・下水・水産養殖・大気中の窒素排出によりデッドゾーンのリスクに直面しています。
両生類の41%、針葉樹の34%、サンゴ礁の33%、哺乳類の26%、鳥類の14%が絶滅の危機に瀕しています。
2020年末の時点で、世界人口の約1%である8,240万人が、迫害、紛争などの結果、強制的に避難を余儀なくされました。
持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを活性化することも考えていきましょう。
次に、化粧品とSDGsはどのような関係性があるのかをみてみましょう。
SDGsの広がりで、例えばパッケージをエコにするというような取り組みが増えてきています。化粧品を製造販売する企業がSDGsにどのように取り組んでいるかをコミュニケーションの中に組み込んでいる企業もたくさんあります。
化粧品業界に限った話ではないのですがSDGsの取組みは、経営リスクの回避や社会貢献、地域貢献、企業イメージの向上から人材確保にも繋がり企業にとっても持続可能な経営戦略へと繋げることができるものです。(*4)
そして2021年4月、経済産業省と日本化粧品工業連合会が、日本の化粧品産業の更なる競争力強化と継続的な発展を目指すため、産学官で構成する「化粧品産業ビジョン検討会(*5)」を立ち上げ、産学官で初となる化粧品産業の将来ビジョンを策定しました。
このなかでは、日本の化粧品業界の現状からSDGsへの取り組みについても触れられています。容器包装の観点で花王、ライオン、マンダム、ポーラ化成工業の取り組みを、そしてジェンダーの観点で資生堂の取り組みがフォーカスされています。(*5)
容器包装をエコにする、またはリサイクルやアップサイクルなど検討を行うことは、化粧品の特性上とても結びつきやすいことだと思います。
製品の売上の一部をSDGsに関わるゴールに向けた投資または寄付をすることで貢献を行うということも考えられるかもしれません。
あなたの会社では、SDGsのどのようなゴールを掲げ、それに向けて具体的な取り組みをどう行うかということを考えてみましょう。
それでは、各社の事例をみながら化粧品と関連性の高いSDGsのゴールについて解説します。
あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
CLARINS(クラランス)のFEEDプロジェクトは2007年にローレン・ブッシュ・ローレンが設立したプロジェクトで、世界中の子供たちに食事を届け、学校教育を提供することに力を注いでいます。2011年に始まったFEEDとクラランスのパートナーシップにより、2015年末までに1000万食以上の食事が子供たちに届けられました。(*6)
食料支援を行ったり売上の一部を寄付したりすることがゴール1の取り組みの一つと考えることができるでしょう。
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
アヴェダでは、毎年10月のエスティ ローダー グループのピンクリボン キャンペーン月間に、ハンド リリーフの限定版を発売し、1本の販売につき5ドルを乳がん研究基金(Breast Cancer Research Foundation®、BCRF)に寄付して動物実験を含まない乳がん研究をサポートしています。さらに日本で、200円*3(本体価格約5%)を米国乳がん研究基金(BCRF)やJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)等に寄付し、医療研究に役立てられます。(*7)
クラランスでは、人道支援団体「ジャルダン・デュ・モンド」を支援することで、薬を手に入れることのできない人々がその土地に根付く植物を独自の薬効植物として活用することを支援しています。広く流行する病気に効果を持つ地域の植物を育てることで、その地域は古くから伝わる知識を活用して、効果的で持続可能な医療システムを独自に育てることができます。(*6)
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
山田養蜂場では2008年から「認定NPO法人 JHP・学校をつくる会」と協力して、カンボジア教育支援活動を行い、毎年1棟の校舎を建設、寄贈しているほか、情操教育(音楽・美術)の普及活動も支援。2022年6月には、寄贈13校目のタナック中学校が完成しました。(*8)
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
日本ロレアルは、シングルマザーキャリア支援、女性のエンパワーメント・アドバイザリー・ボードを創設する等、女性エンパワメントの推進や、困窮を窮める女性たちへの支援を行っています。(*9)
YSL(イヴ・サンローラン)では、厳しい自然環境で知られるモロッコアトラス山脈の麓に庭園を作り、ランドスケープデザイナーと32人の地元女性の協同組合と協力して植物を育てています。これらは収穫された後、研究によって見出された効果や特性をもとにYSLの製品へ生かされています。(*10)
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
MIMCでは、静岡の茶畑で収穫した茶の実を乾燥・粉砕・非加熱圧搾して絞る「茶の実油」を使用し、茶葉収穫のオフシーズンに茶の実を利用することでお茶農家の方たちの安定した収入と美しい景観を守り、労働環境を生み出すことによりSDGs 貢献の一助にもつながっています。(*11)
持続可能な消費生産形態を確保する
資生堂は「アクアジェル リップパレット」の容器で、地球にやさしい海洋分解性の生分解性ポリマーを、世界に先駆けて採用しました。(*12)
N organicでは、エコに向き合うきっかけづくりをしたいという想いから、エコに関するあらゆる取り組みを行っています。直営店では、他ブランドを含む使用済みの化粧品容器を回収しています。回収にご協力いただいた方には、その場で使えるクーポンをプレゼントしています。(*13)
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
資生堂は旗艦店で「アルティミューン パワライジング コンセントレート III」の詰替えサービスを提供しています。日本のMottainai精神にインスパイアされた全く新しいレフィルサービスで、自身でご使用になられたアルティミューンのボトルに美容液を充填します。
日本ロレアルでは、2022年7月に国内の主要事業拠点においてGHG(温室効果ガス)プロトコルのスコープ1および2を完全に達成し、温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)を実現しています。(*9)
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
資生堂は地球の海をもっと健やかで美しいものにするために、世界プロサーフィン連盟の「 WSL(World Surf League)」と、WSLの非営利団体であり、海洋保護の推進や啓発活動、 実践を目指す「WSL PURE」と協同で「SHISEIDO BLUE PROJECT」を立ち上げました。海を愛する世界中の人々を応援し、私たちの大切なビーチ、よりどころである海、そして海と暮らす私たちの肌を守り、支える活動を行っています。(*15)
ETVOSでは沖縄の海に珊瑚の苗を移植したり海の清掃活動など、海を守るキャンペーンを開催しています。同社のミネラルUVシリーズは、創業以来紫外線吸収剤不使用。肌と環境のことを考え、紫外線から肌を守る紫外線散乱剤を使用しています。(*16)
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
ゲランでは、同社の象徴的な原料の持続可能な調達と「ゲラン ミツバチ保護プログラム」を通じて生物多様性の保全とミツバチの保護を行っています。また世界中の生物圏保護区で、ユネスコと提携して「 ウーマン・フォー・ビー(Women for Bees)」起業家養蜂プログラムを通じて女性を支援します。ゲラン従業員のためのボランティアプログラム「ビー・スクール(Bee school)」を通じて、若い世代の生物多様性とミツバチの保存に対する意識を高めます。(*17)
今回は、SDGsと化粧品業界での取り組みについてご説明しました。各社の事例を参考にあなたの会社ではどのような取り組みができるか、また事業に親和性の高いゴールは何かという点を検討頂くご参考となれば嬉しい限りです。
なお当社(株式会社OEM)は化粧品・健康食品の製造受託専門企業として数々の製品を提供してきました。また、ブランドコンセプトや商品企画のコンサルティング業務のご相談もお受けしております。
「化粧品の企画も相談したい」、「化粧品をリニューアルしたい」、「新たに化粧品をつくりたい」とご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。
参考資料
*1 外務省HP SDGsとは?
*2 外務省パンフレット「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」
*4 環境省「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド 第2版」
*5 化粧品産業ビジョン検討会
*9 日本ロレアル webサイト 日本ロレアルのサスティナビリティ
*10 イヴ・サンローラン webサイト OURIKA COMMUNITY GARDENS
*11 MIMC webサイト
*13 N organic webサイト サスティナブルの取組み
*14 資生堂 webサイト Ultimune Refill Service
*15 資生堂 webサイト SHISEIDO BLUE PROJECT
*16 ETVOS webサイト ETVOSと海を守ろうキャンペーン
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