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化粧品の充填とはなに?
充填や包装に、トレンドや好まれる傾向はある?
充填・包装は、剤型や容器とどのような影響がある?
化粧品は、液体・粉体・粘体(粘度の高い液体)など様々であり、商品の品質の安定と消費者の使いやすさを考慮した適切な容器に入れられ、包装して販売されています。
容器・包装は、ブランドコンセプトを表し、SNSでも関心を得ることから化粧品の販売に重要な要素です。一方で、環境負荷を軽減するサスティナブルな素材を使用した容器・包装を企業・消費者双方が選択するようになってきました。
本記事では、化粧品の充填や包装の意味と種類、充填と容器選定に関わる注意点、容量の決め方、そして充填量について解説します。
Contents
化粧品の充填とは、ボトルなどの容器やスティック・パウチなどのフィルムを袋状にしたものに内容物を詰める作業を言います。
容器に化粧品の中身を詰める行為であれば、試作段階で技術者が手作業で行う場合も、製造工程で機械で行う場合にも「充填」と言います。化粧品の中身をバルクということから、製造工程での充填は「バルク充填」とも言います。
化粧品の製造工程において、充填・包装工程は、次のような位置づけとなります。
関連記事:化粧品の製造工程がわかる!コスメ製造のステップを徹底解説 【工程がスムーズに流れるためのポイントは?】
化粧品の充填工程は、その物性と容器・包装材によって適切な機械設備を選択し充填します。
例えば、化粧水のように液体でボトル容器に充填するものやアイクリームのように高粘度でチューブ容器に充填するもの、パウダーファンデーションのように粉末でトレイ容器に充填するものなどがあります。
液体・粘度の高い粘体・粉体・チューブ充填の4種類について、詳しく解説します。
液体充填は、化粧水・乳液・美容液・クレンジング・日焼け止めなどの液体のバルクを充填することです。ボトル・ガラス瓶・広口で浅いジャー容器などにバルクを詰めます。
一般的な容量ではなく、試供品やトラベル用の小さなサイズや、詰め替え用のキャップ口が付いたスパウトパウチなどの大きめなサイズの製品は、半自動機械や人手による充填を行う場合もあり、容器選択には充填設備との適合を確認する必要があります。
バルクの物性によっては粘性が高く、容器の汚れやバルクが容器内で泡立つことがあるので、物性に合わせて充填スピードや充填ノズルの昇降設定を行います。
粘体充填は、リキッドファンデーション・口紅・アイライナー・保湿クリーム・マスカラ・マニキュアなどの粘度の高い化粧品を充填することです。
保湿クリームなどは、充填中に空気が入りやすく、容器口からバルクがあふれる恐れがあります。ノズルからでるバルクの圧力と容器を回転することによる遠心力を使って充填することで充填量を一定にします。また、口紅などは、バルクを型へ加温充填後、冷却することで色・表面ともに美しく成型します。
粉体充填は、パウダーファンデーション・チーク・パウダーアイシャドウなどのように粉状のメイクアップ製品の充填に多く用いられます。
粉状の化粧品の充填・成形には2つの方法があります。
1つ目は乾式成形法で、顔料などの粉体原料を混合し、細かく粉砕した後に粉体をつなぎとめる油性成分を加え、さらに混合・粉砕した粉末をアルミ製やプラスティック製の皿状の容器に入れ、加圧・圧縮して成型する方法です。
2つ目は湿式成形法で、顔料などの粉体原料とつなぎとめる油性成分にエタノールなどの揮発性溶媒を混合して流動性のあるクリームのような状態にします。そのバルクを皿状の容器に入れ加圧し、溶媒を乾燥により揮発させ、成形する方法です。
乾式成形法は、工程がシンプルで、充填に時間がかからないことに利点があり、湿式成形法は、しっとりしたテクスチャーに仕上がり、多色充填ができる点に利点があります。
チューブは、クリームやトリートメントのような粘度が高い化粧品に適しています。
一般的な樹脂チューブや遮光性・非通気性に優れたラミネートチューブなどがあり、内容物の特性によって選択します。
通常、円筒形に成型されたチューブの底部から化粧品を充填し、その後、開口部を封じる(これをエンドシールと呼びます)とともに、ロット番号などを刻印します。もし容器と充填設備が適合しない場合は、開口部を封じた後にチューブの口から充填することになります。この際には、チューブの口径と充填機のノズルが適合する必要があります。
容器選定時には、エンドシールの可能性や口径など、製造設備との適合性に注意を払う必要があります。
化粧品において、内容物だけではなく、包装もまた製品の一部となります。包装はブランドイメージを体現し、消費者との最初の接触点を作り出すために重要な役割を果たします。見た目だけでなく、化粧品の品質を保ち、改ざん防止などの安全性を確保するためにも、包装は不可欠です。
さらに、サステイナビリティへの取り組みとして、化粧品の包装には軽量化した素材、環境に配慮して作られたことを示すFSC認証の紙素材、そして燃焼時のCO2排出を削減する素材などが使用され始めています。これらの変更は、環境への配慮というブランドの責任を強調し、消費者との信頼関係を深める一助となります。
化粧品の包装によく使われる6種の包装方法について解説します。
スティック包装とは、フィルムを筒状に成形し、上部と下部を熱で密封(ヒートシールという)する包装形態を指します。
スティック包装は様々な粘度の液体充填に対応できます。細い筒状の形状から中身を絞り出しやすく、詰め替え用や1回使い切り用の化粧品の包装に適しています。
従来の小袋包装は三方シールまたは四方シールが主流でしたが、スティック包装はそれらと比較して包装材を減らすことが可能です。これにより、製造コストの削減だけでなく、環境負荷の軽減にも貢献します。
化粧品の包装形態として、小容量のパウチと注ぎ口のあるスパウトパウチがあります。
小容量のパウチは、フィルムの三方または四方を密封した小袋で、スキンケアやヘアケア商品の試供品に広く利用されています。特に、アルミパウチは光や酸素の影響を最小限に抑えることができるため、製品の品質を長期間維持することが可能です。
一方、スパウトパウチは注ぎ口がついたパウチ容器で、必要な量だけを使用した後、残りはキャップを閉じて保存することができます。また、包材が柔軟性を持つことにより、内容物を絞り出して最後までしっかりと使用することが可能です。これは消費者にとっても満足度の高いポイントとなります。
シュリンク包装は、化粧品を透明フィルムで密封することです。
従来は化粧箱にいれていましたが、環境に配慮した簡素な包装が好まれることからシュリンク包装が多くなっています。輸送時や陳列時の汚れ・擦れによるキズの防止の機能と、店頭での開封防止の機能があります。
化粧品によって遮光を要する場合には、特に遮光機能のあるフィルムを手配する必要があります。また、容器にガラスを選択した場合には、破損防止のため化粧箱が不可欠で、汚れ・キズ防止のために化粧箱の上からシュリンク包装をすることがあります。
化粧品のピロー包装は、枕のような筒状形態で、フィルムを背中合わせにし、化粧品の長さに合わせて底部をシールして切断します。ピロー包装のメリットは、化粧品の形状や長さに関わらず包装ができ、低コストかつ大量生産に適していることです。フィルムのデザインを工夫することで、内容物が見えるようにすることもできます。一方で、デメリットは、包装機によっては熱に弱い化粧品に不向きであることです。
化粧品のアッセンブリは、広義では「梱包」のことで、シュリンク包装などを含めることがあります。一方、クリスマスや福袋など催事のために特殊な化粧箱を組み立てて複数の製品を詰め合わせたり、パウチ品を台紙に貼り付けたりする作業を指すこともあります。
これらは、製品の魅力を高め、ブランド価値を向上させるメリットがあります。しかし、複雑な化粧箱の組立てや多品目の組合わせによるアッセンブリー作業は、機械化が困難で、人手による作業でコストがかかります。
シール包装は、POPラベル(アテンションラベル)を貼り付けることです。POPラベルは、売り場で消費者の目を引くためのもので、キャッチコピーや商品の特長を伝え、購入を促進する役割を果たします。軽くて動きやすいPOPラベルは、消費者の注目を引きつけやすく、商品の香りを模したラベルは香りのテスターとして機能します。さらに、ラベル上部に穴を開けることで、陳列棚に置く販売とフックに掛ける販売の両方が可能になるラベルも存在します。
化粧品の製造において、容器の選定は多くの要素によって影響を受けます。化粧品の内容物の特徴と粘度が重要なのはもちろんですが、容器の選択時には充填機械との適合性も考慮しなければなりません。特殊な容器は特定の充填機械にしか対応しない場合や、充填速度と製品の仕上がり品質を考慮する必要があります。
化粧品の内容物の特性と粘度、そして充填設備との適合性をバランス良く考慮し、最適な容器を選定することが、化粧品の品質維持と充填効率向上に繋がります。
スキンケア化粧品でよく用いられるエアレス容器とチューブ容器に焦点を当て、充填の観点からその注意点を解説します。
エアレス容器とは、真空状態を活用した密閉型の容器のことで、チューブ型やボトル型の様々な形があります。ボトル型は特にエアレスボトルとも呼ばれます。
エアレス容器のメリットは、容器内部を化粧品だけで密閉することで、酸化や異物、菌の侵入を防ぎ、化粧品の品質を保つことです。粘度が高いものや酸化に弱い化粧品、防腐剤や添加物を含まない化粧品に特に適しています。
さらに、一回分の使用量をプッシュ数で正確に量ることができ、正しい使用方法により化粧品の効果を最大限に引き出すことができます。
一方で、デメリットは、エアレス容器の容器代が高いことやエアレス容器に対応した充填設備が必要なことです。商品企画や試作品テストの段階で、エアレス容器を検討する際は、充填可能な設備と技術が揃っているかを確認することが重要です。
チューブ容器は化粧品における一般的な包装方法で、粘度が高いものから低いものまで幅広く対応しています。
その形状と構造から衛生的に使用でき、持ち運びや収納が容易です。主にアルミチューブ、ラミネートチューブ、樹脂チューブの3つの種類があり、それぞれ遮光性や押し出しやすさ、香料の透過抑制といった特性を持ちます。
また、先端部に特徴のある、低粘度の内容物を1滴ずつだせる滴下型やアイクリーム・グロスに適したドーム型などもあります。
チューブ充填後は、内容物がでる口部分の反対側の筒状の端を加熱し接合します(エンドシール加工と言います)。ヒートシール方式、超音波方式、ホットエアー方式といった加熱方法により仕上がりに差が出ます。エンドシール機がない場合には、容器メーカーがエンドシールを行い、充填工場では容器口から充填することもあります。
材質と製剤の適合性に加え、適切なエンドシール機を工場が保有しているか確認することが重要です。
化粧品の充填は、製品設計の段階で内容量を決定し、その内容量を満たすように充填が行われます。内容量とは、商品のうち容器を除いた中身だけの重量(g)や容量(mL)を指します。内容量の決定には、使用量、原価、売価、充填量、競合品の容量など多くの要素を考慮し、総合的に決定します。
今回は、使用量、容器、競合品を基に内容量を決定する3つの方法について解説します。
使用量から内容量を決定する方法とは、1回分の使用量を基準に、その使用量を使用回数で積算した量を内容量として設定する手法です。この際、製品の目的やターゲット層を考慮し、適切な量を利用できるようにします。
化粧品の使用量は、容器に円形を描いて表したり、パール粒大などと表示することで示されます。ポンプ式の容器の場合は、吐出量を基にプッシュ回数を表示します。
化粧品の効果を十分に引き出すための適切な使用量を消費者に示すことができます。
デザインや機能性に基づいて、容器から決定する方法です。容器のサイズと、充填設備の能力により充填可能な量には一定の制限があります。この充填量と設定した使用期間から、1回あたりの使用量を逆算し、妥当性を検証します。その後、充填量から原価を算出し、内容物のコストと全体のコスト、そして売価とのバランスを見て内容量を決定します。
市場に出ている競合商品の内容量を基準に、自社製品の内容量を設定する手法です。同じカテゴリの製品が特定の内容量で提供されている場合、消費者はしばしばその内容量を「標準」と認識します。したがって、その標準に沿った内容量を設定することで、消費者の購買意欲を減少させることなく、購入のハードルを低く保つことが可能となります。
充填量とは、実際に化粧品が容器に充填された際の内容量を指します。一方で、「表示量」は、化粧品の容器や包装資材に表示された内容量を指します。
表示量と実際の内容量は常に一致するわけではありません。製造過程での微妙な変動や、充填後の経時変化により内容量が若干変化する可能性があるからです。しかし、表示量と実際の内容量には法令による規定があり、その差異は次のとおり一定の範囲内に制限されています。
これらの規定は、消費者の誤解を防ぎ、公正な取引を保障するためのものです。製造者は、これらの規定を遵守し、品質管理に細心の注意を払うことが求められます。
参考:化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則
参考:化粧品の適正包装規則
関連記事:化粧品外箱の表示と広告ルールを徹底解説!裏面記載10項目の知っておくべきポイント
本記事では、化粧品の充填と包装の種類、容器選択の注意点について詳しく解説しました。
化粧品の製造過程において、充填工程は容器の選定と切り離せません。化粧品の内容物の特性と粘度、そして充填設備との適合性をバランス良く考慮して適切な容器を選択することが、化粧品の品質維持と充填効率向上に繋がります。
さらに、化粧品における包装はブランドイメージを体現し、店頭で消費者の購買を促す役割を果たします。また、化粧品の品質を保持するという重要な役割も担っています。
株式会社OEMでは、化粧品OEMの企画から納品まで一貫して対応が可能です。充填適性を考慮した容器や包装資材の提案から調達まで行い、オリジナル化粧品づくりを全面的にサポートします。化粧品OEMをお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
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