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化粧品の全成分表示ルールを整理したい
肌悩みに応じてどのような成分があるのだろうか
化粧品の成分をチェックする際の注意点を知りたい
「すでに販売されている化粧品の成分解析ができたなら」そう思ったことがだれでもあるのではないでしょうか。オリジナル化粧品を販売する際、市販の化粧品との差別化は重要なポイントです。各商品の特徴や機能は、成分名やその並び順からも読み取れます。
本記事では、化粧品全成分の表示ルール、肌悩み別の機能性成分名、全成分表示をチェックする際の注意点などについて、化粧品OEMの専門家である株式会社OEMが解説をします。
化粧品は、薬機法※により全成分の表示が義務づけられています。また、医薬部外品では、日本化粧品工業連合会の自主基準により実施されています。
全成分表示制度によって、企業の責任において化粧品を自由に製造できるようになり、消費者は開示された情報をもとに商品を選び、体質に合わない成分を確認できるようになりました。万一肌トラブルがあった場合、皮ふ科受診のとき、全成分表示は、参考情報になっています。
※「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。「薬機法」や「医薬品医療機器等法」と略されます。
全成分の表示方法は、法規や業界団体によるガイドラインに定められています。その詳細は、日本化粧品工業連合会による「化粧品全成分表示記載のガイドライン」があり、実務はこれに則って行われています。
次のような全成分の表示方法に関わるルールがあります。
それでは、1つずつ解説していきます。
出典:医薬品医療機器等法第61条第四号
出典:平成13年3月6日付医薬審発第163号/医薬監麻発第220号
出典:化粧品の全成分表示記載のガイドライン
関連記事:医薬部外品のOEM製造を徹底解説
化粧品は、表示指定成分のみを表示する制度を廃止し、化粧品に配合したすべての成分の名称を表示する全成分表示が2001年4月1日から実施されました。
一方、医薬部外品(薬用化粧品を含む)は、厚生労働省が承認した製品なので、全成分表示は任意であり、表示指定成分102種類と香料のいずれかを含んでいる場合のみ表示義務があります。
表示指定成分は、旧厚生省が「使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」として定めたものです。
成分表示を確認することで皮膚トラブルを避けることができます。なお、日本化粧品工業連合会は全成分表示を自主基準としていることから、全成分表示をしている医薬部外品もあります。
出典:平成12年9月29日医薬発第九九〇号
出典:医薬部外品の成分表示に係る日本化粧品工業連合会の基本方針
化粧品の表示は、邦文名で記載し、原則として日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」にある名称を使用します。
一方、医薬部外品は、原則として厚生労働省に薬事申請した名称で表示します。そのため、同じ成分でも、化粧品と医薬部外品で表示名称が異なることがあります。医薬部外品では、化学名や別の名称を使うことができます。
化粧品の成分表示名称は、INCI名※をもとに作られており、表示名称リストにない新規の成分は、まずINCI名を取得することになります。そして、表示名称作成にはガイドラインがあり、一定の条件のもと表示名称に「-」(ハイフン)や「/」(スラッシュ)が入ることがあります。
※INCI名:米国パーソナルケア製品評議会(PCPC)の国際命名法委員会(International Nomenclature Committee)が化粧品原料国際命名法(INCI:International Nomenclature of Cosmetic Ingredient)に基いて作成する化粧品成分の英語名称で、国際的に使用されている名称です。
化粧品の表示は、配合量の多い順に表示します。一般に、基剤になる成分にはじまり、機能訴求成分になり、着色剤・香料に終わります。
1%以下の成分は、順不同に表示できます。1%以下の成分の中では、消費者を引き付ける魅力的な成分を前に表示することができます。
最後に、着色剤・香料を順不同で表示しますが、複数種を「香料」などとまとめて表示することも、「ベルガモット果実油、香料」などと表示する成分としない成分を選択することもできます。
一方で、医薬部外品は、配合量に関わらず、有効成分を先に表示することも可能です。
化粧品工業連合会の指針では、「有効成分(表示指定成分を含む)」と「その他の成分(表示指定成分を含む添加剤)」の2つに分けて記載する方法や、有効成分に*印をつけて、その他の成分と区別して表示するよう定めています。
キャリーオーバー成分は、全成分表示に表示する必要がありません。
キャリーオーバー成分とは配合されている成分に付随する成分で、「製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの」をいいます。例えば、配合成分の腐敗や劣化の防止のために添加される防腐剤や酸化防止剤等の成分などがあげられます。
なお、キャリーオーバー成分として防腐剤を非表示とした場合には、広告において「防腐剤フリー」などの表現をすることはできないので注意しましょう。
出典:化粧品工業連合会、化粧品等の適正広告ガイドライン:F5.8 「無添加」等の表現
混合原料を配合した場合には、混合されている成分ごとに表示をします。混合原料とは、いわゆるプレミックス原料で、予め複数成分を混合した原料のことです。
例えば、「水溶性コラーゲン溶液」の混合原料には、水溶性コラーゲン・水・クエン酸などが混合されていますので、全成分表示には、「コラーゲン溶液」ではなく、それぞれの成分名を表示します。
また、アルコールなどの溶媒によって抽出・希釈した原料は、抽出された物質と使用した溶媒を分けて表示します。なお、最終製品に溶媒等が残存しない場合、表示は不要です。
成分表示に、「+/-」の記号が表示されているものがあります。これは、色や香りを表す部分を除いて、販売名や性状が同じシリーズ製品に適用できるMay Contain制度です。例えば、口紅や石けんなどが該当します。「+/-」の記号を表示した後に、シリーズ製品に配合されるすべての着色剤を表示できます。
この表示方法によって、シリーズ製品のラベルを1種類に共通化でき、制作コストダウンや管理の省力化になります。一方で、すべての着色剤を表示することから、資材が大きくなることや消費者からの問合せ対応が発生する懸念があります。Web上の商品ページに製品別の全成分表示を備えましょう。
化粧品は原則として、その直接の容器または直接の被包に表示をします。しかし、化粧品が直接入っているビンや箱が小さく、成分名称をすべて書くことができないときは、外箱やディスプレイカードなどで表示することができます。
全成分が次のいずれかに表示されている場合、直接の容器または直接の被包への全成分表示を省略することができます。
3,4において、製品に固着しない添付文書に全成分を記載する場合は、直接の容器等に添付する文書がある旨を記載すること。
出典:医薬品医療機器等法施行規則第221条の2(化粧品に関する表示の特例)
化粧品、医薬部外品の成分表示の字体・文字の大きさは、特に規定がなく、明瞭で見やすく表示することとなっています。全成分表示の文字の大きさは7ポイント以上で表示することが望ましく、表示が困難な場合にも4.5ポイント以上で表示することをおすすめします。
例えば、公正競争規約施行規則では、化粧品の法定表示の一部である「種類別名称」等については文字の大きさを7ポイント以上と定め、小型容器(内容量が30グラム又は30ミリリットル以下の化粧品容器)の場合にも4.5ポイント以上と規定しています。
日本から外国へ化粧品を輸出する場合には、輸出先の各国の法規に則って化粧品制度を確認し、全成分表示をしなければなりません。表示名称についても、和文の表示名称を単に外国語に翻訳するのではなく、各国の法規に従って、INCI名・中文INCI・ハングルなどに変換して表示する必要があります。
ここまで、化粧品全成分の表示ルールを説明してきました。化粧品や医薬部外品の全成分表示には、知ればもっと化粧品の特徴が分かる表示をみるコツがあります。
1つずつ解説していきましょう。
「ネガティブリスト」は、化粧品基準の別表1と別表2の通称で、「ポジティブリスト」は別表3と別表4の通称です。
厚生労働省は化粧品の安全性を守るため、2000年に「化粧品基準」として、配合を禁止・配合を制限する成分「ネガティブリスト」と、本来使用してはならないが、一定の条件において配合してよい成分(防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素)のリスト「ポジティブリスト」を定めました。
そして、この化粧品基準の規定に反しない成分と配合量の範囲で、企業は自社の責任において安全性を確認し、成分を自由に配合できるようになりました。
化粧品の表示は、原則として日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」にある名称を使用します。
一方、医薬部外品は、原則として厚生労働省に薬事申請した名称で表示し、化学名や別の名称を使うことができます。
このように同じ成分でも、化粧品と医薬部外品で表示名称が異なる成分は、水と精製水、パラベンとパラオキシ安息香酸エステルなど多くあります。
抗シワや美白の有効成分であるナイアシンアミドは、医薬部外品ではニコチン酸アミドと表示されることもあります。
化粧品は、主に基剤・機能訴求成分・品質保持のための成分・粉体で構成されています。固体・液体・粉体・ペースト・泡状などの剤形によって、基剤になる水溶性成分・油性成分・界面活性剤の配合比率を変更します。
機能訴求成分には、保湿剤・エモリエント剤のほか、皮膚コンディショニング成分として、美白作用・抗炎症作用など多様な効能効果の成分があります。
また、酸化防止剤・防腐剤・増粘剤・Ph調整剤・キレート剤などを配合し、化粧品の品質を保持します。メイクアップ品などは粉体を配合し質感を与え、着色します。
化粧品の表示は、配合量の多い順に表示します。そして、1%以下の成分は、順不同に表示できます。肌刺激やテクスチャーへの影響から、化粧品原料の配合量は、0.1%から0.01%の範囲で設計されているものも多く、1%を超えて配合する成分は、限られています。
どれほどの機能訴求成分が配合されているのか、もしくは刺激の少ない化粧品かどうかを推測するには、1%を超えて多く配合されている成分を特定することが目安となります。
そこで、「1%のライン」を見つけるには、配合量が1%を超えることのない原料が目印となります。
それは、ヒアルロン酸・コラーゲン・植物エキス・増粘剤・防腐剤・酸化防止剤・キレート剤です。これらの成分よりも前に表示されていたら、1%以上配合されていると推測ができます。
着色剤は製品または皮膚に色をつけるために用いられる成分で、顔料・染料・天然色素を配合しています。一般に、染料や顔料に含まれるミネラル成分が肌のタンパク質と接触し、アレルギー反応を示すことがあります。アレルギーに敏感な方は、全成分表示をよく確認し、使用前にタッチアップやパッチテストをおすすめします。
顔料は粉末で、肌の上に付着して化粧膜をつくって着色します。パール剤やラメ剤は、質感を与えます。皮膚や毛髪に吸収されることはありません。染料は、水・油・アルコールに溶け、角層を染着するものもあります。落ちにくいコスメとして、口紅やチークに配合されることもあります。いずれも適切なクレンジングでメイクをしっかり落とすことが重要です。
アルコールでかぶれを起こす方は、全成分表示で「エタノール」の有無を確認しましょう。化粧品で一般に「アルコール」と言われるものはエチルアルコールのことで、アルコール飲料にも含まれている成分です。化粧品では「エタノール」、医薬部外品では「無水エタノール」と表示します。
ちなみに「フェノキシエタノール」ですが、エチルアルコールとは異なるものです。化粧品においては、化学構造に水酸基(OH)を持つものをアルコールと呼んでいることから、全成分表示に「アルコール」や「エタノール」とつく成分が多く見受けられますが、エチルアルコールと区別しましょう。
エタノールは大変有用で、収れん化粧水に配合され、肌や毛穴のひきしめ効果・塗布後の清涼感が期待されます。また、防腐効果や配合成分を溶かし、均一に混ぜる役割を担っています。
ここでは、肌悩みや配合目的別の化粧品成分を紹介します。全成分表示を確認するとき、配合目的から化粧品・医薬部外品を探すときにお役立てください。
シワ・たるみ | パルミチン酸レチノール・レチノール・パルミトイルペンタペプチド-4 |
バリア機能 | dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム・セラミドNP |
抗炎症 | グリチルリチン酸2K・グリチルレチン酸ステアリル・グリチルレチン酸・アロエベラ液汁・イザヨイバラエキス |
肌荒れ防止 | ピリドキシンHCl・パンテノール・酢酸トコフェロール |
毛穴・ニキビ | サリチル酸、硫黄、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、ベンザルコニウムクロリド、感光素201号、グリチルリチン酸、アラントイン、ピリドキシンHCl、エストラジオール、エチニルエストラジオール |
クマ・くすみ | トウガラシ果実エキス・センブリエキス |
抗酸化 | アスコルビルリン酸Na・ルイボスエキス |
肌のひきしめ・収れん | カニナバラ果実エキス・ハマメリス葉エキス |
保湿 | ヒアルロン酸・PCA-Na・加水分解エラスチン・加水分解コラーゲン・パンテノール・ハトムギ種子エキス |
角質溶解 | グリコール酸・サリチル酸 |
これまで、全成分表示のルールや肌悩みや配合目的別の化粧品成分をみてきました。全成分表示をみて成分解析できると化粧品の特徴や機能が分かるようになります。
ここでは、化粧品の全成分表示をチェックする時の注意点を、2つ解説します。
肌に刺激を感じやすい方は、肌トラブルを未然に防ぐため、肌に合わない成分が含まれていないか全成分表示を事前に確認し、タッチアップやパッチテストをしてもよいでしょう。購入する際に、パッチテスト済み・アレルギーテスト済み化粧品を選択する方法もあります。
全成分表示は、どのような成分を配合しているかを知ることはできますが、化粧品の品質を保証するものではありません。同じ表示名称の原料でも、原料メーカーによって品質は異なります。天然物由来原料は精製を行っても不純物が含まれるものです。さらに、キャリーオーバー成分は表示の義務がありません。使用中にしみる・赤み・かゆみ・ほてりなどを感じたら即中止しましょう。
また、妊娠・授乳期には、ベニバナ・オレガノ・ペニーロイヤルミント・ローズマリー・ローズの精油に直接触れないようにし、その他の成分についても、注意書きを確認しましょう。
化粧品は、その効能効果を表示することはできませんが、着色・枠で囲うなど強調し、「特記表示」することができます。化粧品の効能効果及び製剤技術に基づく表現で配合目的を追記します。例えば、ヒアルロン酸(保湿剤)のように記載します。
パッケージや説明文書に特定成分だけを記載すると「特記表示」に該当しますので、配合目的を併記しなければなりません。例えば、「うるおい成分ヒアルロン酸」などと記載ができます。
医薬部外品は、厚生労働省が承認した効能効果を有効成分として表示できます。
出典:化粧品における特定成分の特記表示について 昭和60年9月26日 薬監第53号厚生省薬務局監視課長通知
本記事では、化粧品全成分の表示ルール、肌悩み・配合目的別の成分、全成分表示をチェックする際の注意点について解説しました。化粧品は、基本成分・品質保持のための成分で剤形を整えてテクスチャーを表現し、機能訴求成分で効果・特徴を付与しています。
オリジナル商品を販売するには、効果・特徴を打ち出せる配合と、化粧品を塗布したときに効果・特徴を予感させるテクスチャーを実現したいものです。
当社は化粧品OEMの専門企業として、数々の化粧品をOEMで提供してきました。豊富な製造経験とノウハウを活かした提案を行っております。化粧品のOEMを検討されている方は、ぜひ一度当社にご相談ください。
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